【コラム第1回】オープンISA「RISC-V」とは? — 仕組み・メリット・ビジネスインパクトを徹底解説 —

 

RISC-Vとは?

 

 

 

RISC-V ブログイントロ - JFEブランドカラー版(サイドバイサイド配置)

はじめに

RISC-V アーキテクチャイメージ
半導体業界を取り巻く地政学リスクやサプライチェーンの再構築が進むなか、オープンかつモジュラーな命令セットアーキテクチャ(ISA)「RISC-V(リスク・ファイブ)」が注目を集めています。
当社JFE 商事エレクトロニクスでも2025年7月よりAndes Technology Corporation(以下 Andes Technology)と販売エージェント契約を締結し、日本国内における同社RISC-V IP/ソリューションの販売代理店として活動を開始することになり、お客様のSoC 開発エッジ AI 機器開発をご支援できる体制を整えました。

🎯 本稿の目的

本稿では、RISC-V の基礎から最新動向、Andes Technologyが提供する価値までを「勉強用コラム」としてまとめます。読者の皆様がRISC-Vエコシステムの全体像を理解し、実際のビジネス活用に向けた知見を得られることを目指しています。
〜 オープンソースハードウェアの新時代を共に学びましょう 〜


1.RISC-V(リスク・ファイブ)とは?

RISC-V 概要テーブル - JFEスタイル1(クラシック)
項目 内容
名称 Reduced Instruction Set Computer V(「ファイブ」)
誕生 2010年、米 UC バークレー
ライセンス オープンでロイヤルティフリーRISC-V Internationalのポリシーに準拠
特徴 コア ISA(RV32IRV64I)+拡張命令を組み合わせるモジュラー構造

「命令セットはオープン、実装は競争」という考え方により、スタートアップから大手半導体メーカー、大学研究機関まで幅広いプレイヤーが参入しています。

 

2. 主要な技術的特徴



2-1. モジュラー拡張

カスタマイズ性
・整数コア ISA に、乗算 (M)、アトミック操作 (A)、圧縮命令 (C)、浮動小数点 (F/D) などを 必要な分だけ 追加可能

・アプリケーション専用のカスタム命令を追加しても互換性が維持しやすい

 

2-2. オープンソースのエコシステム

オープンソース・コンパイラ (GCC/LLVM)、RTOS/Linux、デバッグツールまで OSS が急速に充実
・商用 EDA ツールや IP ベンダーも相次ぎ対応

 

2-3. ライセンスコストの低減

コスト最適化
・ISA そのものの使用料が不要

・IP ベンダーごとのロイヤルティ体系も Arm 対応 IP と比較して柔軟 な場合が多い

 

3. 市場での採用トレンド

RISC-V タイムライン - JFEスタイル1(CTA強化版)
主なトピック
2024 NVIDIA10億個超RISC-V コア を単年出荷と報道記録的
2025 Infineon車載向け RISC-V MCU ファミリ を発表新製品
2025 欧州サミットで「RISC-V × Automotive」パネルが盛況注目


3-1. 組み込み・IoT

IoT既存 MCU の置き換え需要が拡大。低消費電力かつカスタマイズ性が高いため、センサノードなどで先行採用が進む。


3-2. AI/HPC(High Performance Computing)

AIプロセッサのイメージAI アクセラレータの制御用マイクロコアや、アクセラレータそのものの命令セットとして採用例が増加。自社データ型に合わせたベクター拡張 (RVV) のカスタム実装が可能。


3-3. 車載分野

車載機能安全 (ISO 26262) 対応 IP、長期供給保証、ソフトウェア検証フレームワークの整備が進み、欧州 OEM が評価を本格化。

 

4. なぜ今RISC-Vなのか ― ビジネスメリット



4-1. ライセンスコスト削減

コスト最適化設計段階での初期投資を抑制し、量産時ロイヤルティもスケールに応じて最適化。



4-2. カスタム命令による差別化

半導体 命令アプリ/システム要件に合わせ、暗号・AI・DSP などの専用命令を追加し演算効率を向上。




4-3. サプライチェーン多様化

世界中での採用実績特定アーキテクチャに依存しないため、ファブや OS、IP ベンダーを柔軟に選択可能。



4-4. エコシステム主導のイノベーション

エコシステム研究機関や OSS コミュニティが加速度的に機能拡張を進めており、最新技術を迅速に取り込める。

 


5. Andes Technologyが提供する RISC-V ソリューション

RISC-V 支援メニュー - JFEスタイル1(クラシック)
フェーズ 支援メニュー
企画 アーキテクチャ選定ワークショップ性能コストIP 入手性を比較検討)
設計 AndesRISC-V IP コア/サブシステムワンストップ提供
検証 ファンクションカバレッジISO 26262 準拠の Verification IP 供給高品質
製造 GlobalFoundries(グローバルファウンドリーズ)等のファウンドリ/OSAT パートナーと連携した製造パッケージテスト一貫支援

 

ポイント - JFEシンプル版(黒字統一)

ポイント

既存 Arm SoC からの置き換え PoC にも対応
RISC-V リファレンスボード貸出、ソフトウェアポーティング支援メニューを新設
社内セミナー・技術教育コンテンツを提供
 


6. まとめ


  • RISC-V は「オープン ISA × カスタマイズ自由度」 という特長により、IoT から車載、AI アクセラレータまで採用領域が急拡大。
  • 2024 年には 単年 10 億コア出荷 という実績が示す通り、すでに商用実装フェーズへ突入。
  • Andes Technologyは IP 供給から設計・検証・量産まで を網羅したソリューションで、お客様の RISC-V 採用をトータルにサポートします。

RISC-V に関するご質問や社内勉強会のご要望がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

連載コラム情報 - JFEブランドカラー版
RISC-V アーキテクチャイメージ

📚 連載コラムについて

〜 RISC-V/Andes Technology 深掘りシリーズ 〜
第1回
本記事は RISC-V/Andes Technology に関する 連載コラムの第1回 です。
次回は「なぜ今 RISC-V なのか?」 をテーマに、オープン ISA がもたらす技術的・ビジネス的メリット最新採用トレンドを深掘りします。
🔮 今後の予定
以降も開発事例ツールチェーン機能安全対応などを順次取り上げる予定ですので、ぜひご期待ください。
✨ 次回もお楽しみに! ✨

 

 

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