パソコンやスマートフォン、テレビに車。これらはすべて、私たちの生活で身近な電子機器です。そしてこれらに使用されている「半導体」という言葉も、現代社会においては聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。しかし「半導体とは?」と改めて聞かれると「?」を思い浮かべる人も、同じくらい多いでしょう。その答えは、半導体の名前から紐解くのが良いかもしれません。本記事では、半導体の名前の由来から抑えておきたい基礎知識などまで解説していきます。ぜひこの機会に、半導体の知識を深めていきましょう。
目次
1. 半導体とは?│語源と基礎知識
「半導体」という言葉は、英語の「semiconductor(セミコンダクター)」の和訳に由来しています。“semi”は「半分」、そして “conductor” は「導体」という訳し方がされます。ここから「半導体」という言葉が生まれました。しかしこのままではただの和訳となってしまうため、意味を分解してみましょう。
まず「導体」は、電気を通しやすい(電子が流れやすい)物質のことを指します。反対に、電気を通さない物質のことを「絶縁体」といいます*。この電気の通り具合において、導体と絶縁体の “中間(半ば)”に位置する性質を持つのが「半導体」というわけです。「電気を半分通すから、半導体」というわけではありません。
*導体の例:鉄・銅などの金属、絶縁体の例:大理石、ダイヤモンド、石英、ガラス など
2. 半導体の特性
それでは次に、半導体の特性について見ていきましょう。半導体を理解するうえで重要な特性のひとつとして、半導体へ不純物を添加することで、電気抵抗が「絶縁体」に近い状態から「導体」へ近い状態へと性質が変化することが挙げられます。
この特性を活かして、電子部品であるLSI(大規模集積回路)や電子機器の製造に利用されています。また、半導体は光を放出することもできるため、LEDや太陽電池にも利用されています。
2-1. 電気の流れやすさと電気抵抗
まずは“電気が流れる”ということについて、簡単にご紹介します。電気の世界は水の流れに例えられることが多く、「電子」は水と考えてください。そして水が流れるように電子のかたまり(電荷)が物質の中で流れて移動することを「電流」と呼びます。この流れをつくるのがいわゆる圧力で、電気の世界では「電圧」と呼びます。先ほど導体の特性として“電気を通しやすいこと”をご紹介しましたが、この電気を通しやすいということは、物質の中に自由に動き回る電子(自由電子)が多いことを指します。
そして導体や回路において電流(自由電子の動き)を阻害する性質のことを「電気抵抗」と呼びます。電気抵抗が大きいと電流は流れづらく、電気抵抗が小さいと電流が流れやすくなります。つまり特性の冒頭でご紹介した半導体の性質は、電気抵抗が“大”となって「絶縁体に近い性質になる」ことや、電気抵抗が“小”となって「導体に近い性質になる」ことを指しています。
2-2. ドーピングと半導体の伝導性
では次に、半導体において上記のような電気の通りやすさ(伝導性)の変化を生じさせる条件:「ドーピング」という処理についてご紹介します。
ドーピングは、半導体に少量の不純物を添加することで、伝導性を変化させる処理のことを指します。種類は、N型ドーピングとP型ドーピングの2種類*。N型ドーピングは、不純物としてリン(P)やアンチモン(Sb)などの5価元素を添加することで、半導体に自由電子を増やした状態(Negative)とし、電気をよく通す材料を作り出します。
一方、P型ドーピングは、不純物としてボロン(B)などの3価元素を添加することによって半導体がマイナス特性の価電子不足の状態(Positive)となり、ホールができます。ここに電子が移動してくることで電気が流れるようになります。
このように作られた半導体は、それぞれN型ドーピングで作られたものを「N型半導体」、P型ドーピングで作られたものを「P型半導体」と呼びます。
*N型のNはNegative(負)、P型のPはPositive(正)に由来
3. 半導体の材料について
ここまで半導体の仕組みについてお話しをしてきました。最後に、半導体の材料についてご紹介します。半導体はシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)といった元素から作られます。最も多く使用されるのはシリコンで、不純物をほとんど含まない99.999999999%(イレブンナイン)の高純度で精製された単結晶シリコンの半導体は「真性半導体」と呼ばれます。
まとめ>
本記事では、半導体の名前の由来から基礎的な知識までをご紹介をしました。「半導体」業界は今後もさらなる発展が予想されています。 “知っている”ことが増えると、より世界が広まるかもしれません。ぜひ当社他コンテンツもご覧ください。