「半導体」と一口に言っても、機能は多岐にわたります。その中でも今回は、日常生活でも身近な「メモリ」について見ていきましょう。本記事では「メモリとは何か」から、身近なメモリ「DRAM」と「NANDフラッシュメモリ」についてもご紹介していきます。
「メモリ」は、デジタル情報を記憶する半導体デバイスの一種です。この「記憶」とは、デジタル化された情報を「1」か「0」の2つの値で表現して、メモリセルへ保持することを指します。
メモリには、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)の種類があり、それぞれ、揮発性、不揮発性の特性があります。違いは下記の通りです。
電源が切れるとデータが消えてしまうものを「RAM」、電源が切れてもデータが残るものを「ROM」と呼びます。
以下では、主要なRAMとROMをそれぞれご紹介します。
揮発性メモリの一種である「DRAM(Dynamic Random Access Memory:動的ランダムアクセスメモリ)」は、現代社会において非常に身近なRAMといえるでしょう。
たとえばパソコンやスマートフォンでは、データの処理をおこなうCPUとデータを保存するストレージの間に位置し、一時的なデータの書き込み・読み出しを担っているのがこのDRAMです。「メインメモリ(主記憶装置)」とも呼ばれています。
DRAMは、「キャパシタ(コンデンサ)」を使用して電荷(電子)の有無で「1」と「0」を識別することで情報の記憶をおこないます。キャパシタに蓄えられた電荷は時間が経過すると漏れ出てしまうため、情報を留めておくためには定期的なデータの書き直し(リフレッシュ)が必要という特徴があります。
「NANDフラッシュ」はROMの一種で、「フラッシュメモリ」と呼ばれるのは一般的に、このNANDフラッシュを指します。「ストレージ(補助記憶装置)」として、USBメモリ、デジタルカメラのメモリーカード、パソコンのSSD(ソリッドステートドライブ)などに利用されています。
DRAMの場合、情報の記憶はキャパシタに電荷を蓄えることでおこなわれます。その一方でNANDフラッシュでは、情報の記憶は「フローティングゲート」と呼ばれる場所に電荷を蓄えることでおこなわれます。
フローティングゲートは、周りが絶縁体の酸化膜で囲まれていることから、基本的に電荷が逃げないような構造です。これによって、電源が切られても情報の記憶を維持できるような仕組みである点で、DRAMとは異なります。
ここまで、DRAMは「メインメモリ(主記憶装置)」であり、NANDフラッシュは「ストレージ(補助記憶装置)」とご紹介しました。それぞれの「揮発性/不揮発性」以外の違いはどこにあるのでしょうか。
その答えとしては、「集積度」、「動作速度」、「記憶できる容量」の3つが挙げられるでしょう。下記表で簡単にまとめてみました。
<2つのメモリの違い>
まず「集積度」については、DRAMはNANDフラッシュに比べて比較的単純な構造となっているため、DRAMの方がやや優れています。「動作速度」についても、類似の理由からDRAMの方が優れているといえます。しかし「記憶できる容量」については、1チップに搭載できるメモリセルの数が多い点でNANDフラッシュの方が大きいという特徴があります。
メモリ仕様を検討するときに、そのメモリがどこで使われるか、どのようなデータが置かれるのかを考え、使用するメモリを選択する必要があります。
<パソコンのメモリ構成の一例>
本記事では、「メモリ」をテーマに「DRAM」と「NANDフラッシュ」の特徴についてご紹介しました。半導体には複数の種類が存在し、パソコンなどにも使用される身近な言葉もご覧いただけたのではないでしょうか。半導体についてもっと知りたい方は、ぜひ当社の他コンテンツもご覧ください。
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